松尾敏男

プロフィール

松尾敏男
Toshio Matsuo

1926年～2016年。

長崎県長崎市出身。

特に牡丹などの花鳥画が人気を博した日本画家。

主には院展で70年もの間最前線で活躍を続けた。

位階は従三位。

2000年に文化功労者として選ばれ、その後文化勲章を受章。

また多摩美術大学美術学部教授を務め、日本美術院理事長など歴任している。

東京府立第六中学校(現在：東京都立新宿高等学校)へ入学し、当時は体操で活躍し成績を残すなどしていた。

しかし急性肋膜炎にかかり休学したことがきっかけに、様々な画材で絵を描き、日本画の世界に没頭することとなった。

その後17歳で堅山南風に師事、南風の作品「雨後」に影響され本格的に日本画家としての道に進む。

雅号を「泉華」とした。

6年後「埴輪」が院展にて初入選を果たす。

1958年斎藤愛と結婚。子に恵まれる。

この頃から抽象化し幻想的な作品や、戦争体験からか内省的な作品、生と死などをテーマに制作するなどした。

狩野永真安信が制作した日光輪王寺の鳴龍が火事により焼失(1961年)したことにより、師である堅山南風に制作依頼がされた。

松尾も、1966年7月完成まで助手を務め制作に携わることとなった。

南風と共に制作することで多大な影響を受け、「廃船」が院展で日本美術院賞・大観賞を受賞することに繋がった。

松尾の挑戦の作品「廃船」では、捨てられたものをテーマとし美を追求し、作品を”塗る制作”ではなく”描く制作”を始めた初期の作品でもある。

その後も受賞は続き、「鳥碑」(68年)「樹海」(70年)は日本美術院賞・大観賞、「北限」(69年)は奨励賞と 華やかな結果を残すことになった。

「樹海」は文化庁が買い上げ作品にもなった。

透明感あふれる牡丹が代表的な作品として知られるが、それだけでなく国内外へ旅行して各地で取材、多様な制作にも励んだ。

北海道への取材旅行(67年～)、インド・パキスタン(75年～)、中国(79年～)、イタリア(85年～)、ギリシャ・トルコ(86年～)など世界各地を回った。

その成果として院展に作品を出品、様々な賞を受賞につながることとなる。

また96年には、パリの三越エトワールにて個展を開くなどもしている。

2013年には長崎県名誉県民として顕彰された。

代表的なモチーフ
牡丹、花鳥など

年譜

1926年 長崎市 生まれ。

1943年 堅山南風に師事する。

1949年 再興 院展にて「埴輪」が初入選。

1964年 助手として、堅山南風の日光輪王寺の鳴竜の制作に携わる。

日光輪王寺の鳴竜：元々は狩野永真安信が制作したが61年の火事で焼失、その後堅山南風が制作依頼がされた。

同年、院展にて「高原」が奨励賞を受賞。

1966年 院展にて「廃船」が日本美術院賞・大観賞を受賞。

1968年 院展にて「鳥碑」が日本美術院賞・大観賞を受賞。

1969年 院展にて「北限」が奨励賞を受賞。

1970年 再興 院展にて「樹海」が日本美術院賞・大観賞を受賞する。

さらに文化庁が買い上げした。

1971年 第一回山種美術館賞展にて「翔」が優秀賞を受賞する。

また日本美術院同人に推挙される。

1972年 「海峡」により芸術選奨新人賞を受賞する。

1975年 院展にて「櫂」が文部大臣賞を受賞する。

1975年 再興 院展にて「燿」が優秀賞を受賞する。

1978年 院展にて「サルナート想」が文部大臣賞を受賞する。

1987年 多摩美術大学に教授として招かれる。

1994年 日本芸術院会員となる。

1998年 勲三等瑞宝章を受章する。

2000年 文化功労者となる。

2009年 日本美術院理事長に就任。

2012年 文化勲章を受章する。

2016年 ご逝去。享年90歳。

↑松尾敏男作品TOPへ