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絵画・版画の基礎知識KNOWLEDGE

版画や絵画作品の技法と基礎知識

シルクスクリーン

枠に張った絹やナイロンなどのフィルムに感光剤などで図版を謄写します。直接絹や、ナイロンにマスキングの塗料を塗り制作することもあります。複雑な色使いや、大きなサイズの作品の制作が可能であり、鮮明で均一な仕上がりになります。 ハーフトーン(ぼかし)を表現する事が出来ないので、メリハリの利いた作品に向く技法です。

保存の注意点

シルクスクリーンは絵の具が紙の上に乗っている状態のため、湿気などによる波打ちになりやすく、丸めてたりしまると絵の具が剥離することもあります。
また、長く箱にしまったままですと、湿気による波うちやカビ、退色等のダメージが発生するおそれがあります。
保管場所に気をつけ、時々箱から出して風通しをするようにしてください。

セリグラフ

シルクスクリーンの別名で(セリグラフとはラテン語の絹の意)、木や金属の枠に絹やナイロン・テトロンを張り、インクか絵の具を版の下に浸透させ て印刷する技法。
難しいテクニックや複雑な材質を必要とせずどんな型紙からでも多色多様に製作できるため、多くの芸術家や職人に 広く用いられております。

P . P

英語の Printer’s Proof の略で、版画の刷り職人のための作品という意味です。 元々は版画を作る工房の職人達の労をねぎらう目的でPP記載分を、その工房のメインの職人に贈られた事がその発祥です。 現在ではその工房の実績を残すためや、刷り工房へ版画の刷り代の補助として渡す分を指します。 山形博導等一部の作家はそのPPにも限定番号を記載して、限定部数を管理しています。

H . C

フランス語で Hors Commerce の略で、非売品という意味です。 元々は版画の販売の為の見本用として作られた物でしたが、現在では通常限定番号以外で、販売元が余分に販売できる版画作品に付けられます。 大体版画の通常限定の3%から10%ぐらい作られます。つまり限定200部の作品ですと5枚くらいから20枚くらい制作され販売される版画です。 作家によってはH.C.にも限定番号を付けて限定数を管理しています。

リトグラフ

18世紀末に開発された石版による技法で、水と油が反発する性質を利用しています。 (現在では亜鉛版やアルミ版が使われています)
木版にない自然な表現を可能にし、まるでキャンバスに筆やクレヨンで描いたように、柔らかくデリケートでソフトな描画が出来ます。

エッチング

銅版画の一種で、腐刻線による技法を用いたものをいう。 銅版を防食剤で一面にコーティングしたのちニードルで線描し、酸に浸して腐食させる。 ニードルで防食剤を剥がした部分だけが浸食され、それが版の凹部となる。最後に防食剤を洗い流して版が完成する。 レンブラントなどがエッチングを好んで制作した最初期の作家であり、ほかの銅版画技法と併用するなど、意欲的にその表現可能性を拡大した。 凹版画のなかでは、特殊な技能をもっとも必要としない技法なので、広く普及している。

EA

フランス語の eqreuve d’artiste の略で、版画の作家保存分という意味です。 英語では Artist Proof と呼び、APと表記します。現代では、作家が版元を通さずに直接、誰かに販売するために作られることも多いです。一部の作家はそのEAやAP にも限定番号を記載して、限定部数を管理しています。

シバクローム

チバクローム、イルフォクロームとも呼ばれ、スイスのシバガイギー社が開発したカラープリントの技法です。 通常の写真の現像方法である”発色現像法”に比べ、”銀染料漂白法”と呼ばれるこの技法はプリントの過程で不要なインクを抜き、 正確に色を残していく為、濁りがなく透明感や彩度にも優れています。 忠実な色再現や高解像度力を持ち、色彩自身の耐久性が強く、経年してもその透明感や色が損なわれないため、 耐久性を要求される版画法として近年よく使われる技法となっています。 また、図柄に手彩を加えることも可能です。

TP/EE

英語の Trial Proof の略で、版画の試し刷りという意味です。フランス語では Eqreuve d’Essaiと呼び、EEと表記します。TPは試し刷りですので、必ず最終の版画とは色や構図などが若干違っております。試し刷りの保存は作家がする場合と、版画の刷り工房が保存する場合があります。 作家が保存している場合は、死後に遺族に相続され、その場合は署名が入っていない事が多いです。 現存作家の場合は現在見かけるTPは、その版画の刷り工房から出た物が殆どです。

ミックスドメディア

混合技法という意味で、以前は油絵の具と水彩絵の具の両方使用した作品のことを指す言葉でしたが、ラッセンの技法をミックスドメディアと呼ぶようになってからは、版画でもいくつかの技法を併用して制作した作品のことを呼ぶようになりました。ラッセンは写真製版された下絵にシルクスクリーンで加刷して、原画の微妙なグラデーションや繊細な陰影、奥行きのある立体感を出しています。

またラッセンのミックスドメディアの技法としてはアータグラフとキャンバスエディションとラッセングラフがあります。
・アータグラフ: 紙ではなくキャンバスにミックスドメディアの技法で刷った物
・キャンバスエディション: アータグラフに1点1点、アクリル絵の具で手彩色した物
・ラッセングラフ: ボードにミックスドメディアの技法で刷り、1点1点手彩色した物

CXCII / CCL

一つはアラビア数字で、もう一つはローマ数字です。 アラビア数字とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、50、100、500、1000という表記です。 ローマ数字では、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ、L,C,D,Mと表記します。 Xは10、Lは50、Cは100、Dは500、Mは1000を表します。CXCⅡとは C と XCⅡ は92です。この二つを合わせて192と言うことです。 まとまった数V(5)、X(10)、L(50)、C(100)の左側に書いた数字はそのまとまった数から引いた数がその数字となります。XCは90、VCは95、と言うように書きます。 大体ローマ数字の限定番号を持つ版画は、アラビア数字の限定番号の版画も存在します。山形博導や笹倉鉄平では、アラビア数字の限定番号の版画を  Regular Edition と呼び、ローマ数字の限定番号の版画を Roman Edition と呼び、殆どの作品にその両方が出版されます。ローマ数字の限定番号は、シャガールやビュッフェなどヨーロッパの作家の場合、EAやHCに付けられることが多いです。基本的には限定番号により作品の価値には差はありません。

ジークレー

フランスで開発された技法で、フランス語で「インクの吹きつけ」を意味します。 最新のデジタルカメラとスキャナー技術を駆使して作成される、最新のコンピュータ技術を使った版画技法です。 ジークレー専用のインクジェットプリンターから、版画紙やキャンバスにダイレクトに、 大きさ15ミクロンのシアン、マゼンダ、黄色、黒色の4色の粒子を吹き付け制作します。 色合い、質感、濃度までも正確に表現でき、水彩、油彩、アクリル画といったオリジナル作品の あらゆるニュアンスを捕らることの出来るこの技法は、現在最も原画に近い版画製作法ともいわれています。

また、水性のインクを使用するために 通常表面は乾燥した感じに仕上がり、見た感じはリトグラフに近い感じになりますが、 その上からシルクスクリーンで透明ニスをかける場合はシルクスクリーンの様な仕上がりになります。 アイリス工房で制作されるジークレー版画はアイリスとも呼ばれます。

サイン

刷り上った作品に作家が直筆で記入します。 最も一般的には署名は鉛筆でされます。 その他の筆記用具が使われる例は次の通りです。

ペンサイン

ペンサインは黒インクのケースと青インクのケースがありますが、青インクでサインされた場合、退色といって月日が経つと自然に色が薄くなってしまいます。

ボールペンサイン
金ペンサイン

ラッセンやシメールなどの作品でよく見ることができます。 また版上サインといってエスタンプ(複製原画)のように原画のサインがそのまま画面に刷り込まれているものもあります。

ダイヤモンドスクリーニング

銅版画の一種で、腐刻線による技法を用いたものをいう。
銅版を防食剤で一面にコーティングしたのちニードルで線描し、酸に浸して腐食させる。
ニードルで防食剤を剥がした部分だけが浸食され、それが版の凹部となる。最後に防食剤を洗い流して版が完成する。
レンブラントなどがエッチングを好んで制作した最初期の作家であり、ほかの銅版画技法と併用するなど、意欲的にその表現可能性を拡大した。
凹版画のなかでは、特殊な技能をもっとも必要としない技法なので、広く普及している。

限定部数(エディションナンバー)

作品の限定総部数を意味して、APなどの番外版画を除いて数えます。アラビア数字とローマ数字で記入されます。

ラッセンの場合、特有の頭文字があります。
・I版:     Internatinal Editionの略
・CRL版:  Christian Riese Lassen Editionの略
・GL版:    Gallery Lassen Editionの略

キャンバスエディション

千住博とデジタル版画製作第一人者の長谷川真紀男の共同開発によって作り出された最新のデジタル技法。 両名のイニシャルをとりHSエディションと呼ばれている。 日本画特有の岩絵具、墨の持つ質感を完全に再現し、150年以上の耐久性があるといわれている。

HSエディション

千住博とデジタル版画製作第一人者の長谷川真紀男の共同開発によって作り出された最新のデジタル技法。 両名のイニシャルをとりHSエディションと呼ばれている。 日本画特有の岩絵具、墨の持つ質感を完全に再現し、150年以上の耐久性があるといわれている。

カタログレゾネ

全作品資料の載っている画集の事です。 有名作家の油絵や版画等の研究などのために、作られる画集で発行部数もそれほど多くないこともあり、高額なカタログレゾネも存在します。通常油絵のカタログレゾネはその研究者の名前で**のカタログなどと呼ばれています。版画のカタログレゾネの場合は通常作家名で**のレゾネと呼ばれ、油絵ほどは高価ではないですが、数十万するものも少なくありません。業者間ではこのカタログナンバーで作品を特定して取引する事も多いです。ラッセン、シム・シメール、天野喜考等の作家はカタログレゾネが作られていません。注意しなければいけないのが、どのカタログレゾネも殆どは正しい資料が記載されていますが、時に間違いや、誤植もあり、お手持ちの作品がレゾネの記載と違う場合は、詳しい業者に確認が必要です。

オークション

オークションは通常英語にて状態記載があり、その代表的な用語は下記の通りになります。

しみ・汚れ関係

  • stain / しみ
  • soiling / 汚れ
  • foxing / 斑点(かびシミ)
  • remains of tape / テープ跡
  • glue stain / 糊じみ
  • mat stain / マット跡(マット焼け)
  • hinge stain / ヒンジ跡

傷関係

  • scratch / ひっかき傷
  • crease / 折れ、しわ
  • tear / 裂け目
  • rubbed / 擦り傷
  • scuff / 擦り傷
  • abration / 擦り傷
  • skinned / 剥離
  • pressure marks / 押し跡
  • micks / 切れ口

変色関係

  • discoloration / 変色
  • time staining / 経年による変色
  • faded / 退色
  • light stain / 日焼け
  • sarkening / くすみ